まち情報
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杉戸と宮代の日常に音楽のある風景を。まちなか練り歩き楽団「YATTE&MIROTTS(ヤッテ&ミロッツ)」。
東武動物公園駅周辺で、カラフルな衣装を身に纏い陽気な音楽を奏でる、まちなか練り歩き楽団「YATTE&MIROTTS」(以下、ミロッツ)。
ミロッツとはどんな楽団なのか。代表の矢口真紀さんと、バンドマスターの新藤岳史さんにお話を伺いました。
▲真剣な表情で練習をする矢口さん(右)と新藤さん(右から二番目)。矢口さんは練習が楽しくて、最近は仕事の合間にも鍵盤ハーモニカを弾いているのだとか。
【「やってみたいができるまち」への第一歩】
結成は、2022年12月。きっかけは、矢口さんが友人である新藤さんと斎藤みずほさんに「音楽経験がないけれどバンドをやってみたい」と話したことでした。
するとふたりは、「やってみよう」と矢口さんの背中を押してくれました。その場で演奏する曲が決まり、すぐに新藤さんはアコーディオンを購入したそうです。
「YATTE&MIROTTS」という名前は、矢口さんの口癖「やってみろっつんだ!」から付けました。失敗を恐れずに、なんだってやってみよう、挑戦しようという想いが込められています。
誰もが川辺で音楽を奏で、公園で歌を歌い、道端で芝居をする―― そんなやってみたいことができるまちに住みたいという矢口さんが、その一歩踏み出しました。特に音楽経験のない矢口さんにとって、それは大きな挑戦でした。
【誰でも相乗り大歓迎!練り歩き楽団としてまちなかでデビュー】
矢口さんによると、ミロッツが目指すのは、音楽経験のない人でもやってみたいという気持ちさえあれば、誰もが主役になれる楽団です。
ミロッツは、新藤さんのアコーディオンや矢口さんの鍵盤ハーモニカを中心に、ウクレレ、タンバリンなど身近な楽器で構成されています。また、斎藤さんは、楽器は持たずに衣装のスタイリング担当として参加しています。それぞれの人が、音楽に限らず自分の得意な事を生かして関わっています。
矢口さんをはじめ、ほぼ音楽経験がないメンバーもいる中で、たくさん練習を重ねて挑んだデビューライブは、「321の市」というマルシェイベント。会場の大落古利根川の川辺を練り歩きながら演奏しました。
演奏が始まると、お客さんも出店者も、みんなが手拍子などで相乗りしてくれました。その姿に、矢口さんと新藤さんは、「演奏している自分たちが一番楽しませてもらった」と感じたそうです。
その後は、メンバーを増やしながら、活動の幅を広げていきます。東武動物公園駅前、ひとつ屋根の下、新しい村など、いつものまちなかで音楽を奏でてきました。
【仲間と一緒に恩返しができた上田秋祭り】
ミロッツに、2024年9月21日に開催される、矢口さんが生まれ育った上田(かみた)自治会の秋祭りへの出演依頼がありました。秋祭り実行委員長である矢口さんのお父さんからの依頼です。住宅街を練り歩いて会場へ向かい、お祭り会場のステージで演奏してほしいという内容でした。
矢口さんは、育ててくれた両親、小さな頃から見守ってくれた地域の人への感謝を込めて依頼を引き受けたそうです。出演についてメンバーに声をかけると、ミロッツ史上最大の13人構成になりました。音楽を始めたから繋がることができた仲間たち。「自分の親孝行に付き合ってくれる人がこんなにいる」と感慨深そうに話してくれました。
お祭りの当日。演奏の練り歩きが始まると、静かな住宅街に音楽が鳴り響きます。住宅の玄関や窓から、手を振ってくれる人たちがいました。会場でも、多くの人が笑顔と拍手で迎えてくれて、地域のあたたかさを実感したそうです。
▲練り歩き演奏の一曲目は「聖者の行進」。軽快なリズムで住宅街を進みます。
矢口さんが客席に向かって「一緒に踊りましょう」と声をかけると、立ち上がって踊り出すおばあちゃん。メンバーがアドリブで客席を練り歩くと、ステージに集まってきて自由に飛び跳ねる子どもたち。
アンコールは「東京ブギウギ」の替え歌で、「上田ブギウギ」。みんなで歌って踊って会場が一体感に包まれます。上田っ子として育った矢口さんにとって、胸が熱くなるひとときでした。
▲秋祭り実行委員長が「みんな喜んでいたよ!」と嬉しそうに何度も言ってくれたそうです。
【このまちのみんなと作る新たな風景】
最後に、今後の展望について伺いました。
進藤さんは、違うジャンルとコラボをしてみたいと話します。ミロッツだけで完結せず、いろんなジャンルの人との作品作りに挑戦していきたいそうです。既に、民謡の歌い手とコラボした「盆踊り×ミロッツ」と、劇中の伴奏音楽を演奏する「劇団×ミロッツ」の実現に向けてアイディアを膨らませているのだとか。
矢口さんは、もっとたくさんの人との関わりしろを大事にしたいと考えているそうです。お客さんが一緒に歌って踊ってくれたことが嬉しかったからこそ、「コール&レスポンスなど、もっと周りを巻き込む仕組みづくりをこれから考えたい」と話します。
矢口さんの誰もが川辺で音楽を奏で、公園で歌を歌い、道端で芝居ができるまちに住んでみたいという想いから始まったミロッツ。
ますます広がるミロッツの活動が、杉戸と宮代の新しい日常の風景を作ってくれそうです。
インタビュー・文:まるちゃん