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杉戸学で学び 杉戸宿案内人とたどる江戸の面影
「杉戸学」で町の歴史に興味を持ち、杉戸宿案内人と一緒に杉戸宿をめぐりました。寺社や旧跡を訪ねながら感じた杉戸ならではの魅力をレポートします。
文・榎本喜一(町民ライター講座受講)
昔、しばしば利用していた中央公民館を思い出し、今どうなっているかを無性に知りたくなり訪ねてみました。
広い駐車場には「ココティすぎと」のツートンカラーの建物があり、右奥には展望が開けた芝生の公園がありました。陽もだいぶ西に傾き、芝生が濃く見えます。
中に入ると講座のお知らせのチラシが置かれていて、新しいシステムに変わったと直感しました。
受付カウンターに置いてあったココティスクール(通称・ココスク)の冊子をめくると『杉戸学』の案内があり、すぐに申し込みました。
東京生まれの私ですが、50年住んでいる杉戸町はもはや郷里です。杉戸町のすべてを知りたくなりました。
『杉戸学』は長島健治郎先生が講師で、受講生は12、3名。長島先生は杉戸の歴史をよく調べられており、熱意が伝わり、月一度の講座が待ち遠しく感じました。
この『杉戸学』をきっかけに、杉戸宿観光案内ボランティアガイド「杉戸宿案内人」と歩く『杉戸宿めぐり』に申し込み、案内人の方と6、7名の参加者とともに、杉戸町の史跡をめぐりました。
最初に訪れたのは香取山東福寺。無住職の寺ですが構内は広々として静かです。自由民権運動が活発だった頃、ここで何度も集会が開かれ大勢の人が集まったそうです。今は白い大きめの涎掛けをつけた六地蔵が赤い帽子をかぶり、おだやかな顔を並べて立っているだけです。
お寺を出ると右側が清地村、左側が新町とのことでした。
日光街道を右折してすぐ左手にある江戸時代の高札場(幕府や藩が法令やお触れ書きを木札に掲げた場所)の復元を見学し、次に近津神社へ向かいました。
私たちを迎えてくれた近津神社の狛犬は正面を向かず、顔を後ろへ背けた珍しい姿をしており、狛犬研究者の間でも話題になっているそうです。
境内では、歌川広重が「杉戸弁天池」を描いたといわれる錦絵の場所にも立たせてもらえました。昔の池を想像しながら眺めると、当時の景色が目に浮かぶようでした。近年焼失した社殿もすでに再建されていました。
さらに日光方面へ歩くと、問屋場跡(現・篠原材木店)を見学。ここでは人馬の休息、交替、荷物の積み換え、宿屋などが行われていたそうです。元和2年(1616年)に幕府から5人馬の継立を命ぜられ、宿駅となり、村を改め町とするようにとのこと。ここから杉戸町が始まったわけですね。
問屋場跡の裏には伊奈稲荷神社があり、杉戸の治水に尽くした伊藤忠治一族を祀っているとのこと。また一般の稲荷神社も並んでいます。
伊奈稲荷神社を後にして、日光街道を進んだところにある旧渡辺金物店で休憩し、麦茶をとてもおいしくいただきました。
街道を進むと関宿道の入口があり、その向かいの角が、先に復元を見学した高札場の実際の跡地。現在は空き地になっているため、そこで全員が立ち止まり、本陣・脇本陣、そして道をふさぐように建つ角穀(穀物商)についての説明を聞きながら、遠目に見学しました。
本陣(長瀬家)は諸大名、脇本陣は家臣たち、その他47軒の旅籠でも足りない場合は宝性院や一般の家にも泊まったとのことです。
宝性院に入ると美術館のような建物が右手にあり、本堂は不動明王。本堂を囲むように付け子が16体、うち1体だけが毬を持つ獅子となっていて、命の誕生や再生の「生命の源」を表しているそうです。
馬頭観音の道標は大きくて立派でした。初代町長の墓も見せてもらいましたが、手入れもされず、掃除もされておらず、放置されているようでした。
倉松川沿いの河原浅間神社では、境内に富士山を模した富士塚があり、一角には松尾芭蕉の句碑がはめこまれていました。
「八九間 空で雨ふる 柳哉」
最後は愛宕神社。江戸時代に杉戸町内で大火があったため、火防ぎの神として近隣町村民に広く信仰されたそうです。最近、大銀杏の樹に落雷があり、黒焦げの部分が痛々しかったですが、社殿に燃え移らなかったのはさすが防火の神様ですね。
案内人さんの解説もわかりやすく、杉戸町の歴史をいろいろ知ることができた『杉戸学』と『杉戸宿めぐり』。表情豊かでやさしい案内人さんと参加者の皆さんのおかげで楽しい一日を過ごすことができました。また、こうして一日歩くと、町の歴史が身近に感じられ、杉戸がますます好きになりますね。
こうした催しで町を歩くと、杉戸の歴史や魅力に出会えると思います。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
【インフォメーション】
◆ 杉戸宿めぐり まち歩きの案内
日光街道杉戸宿を案内人と歩く「杉戸宿めぐり」が開催されています。歴史ある町並み、史跡、文化をゆっくり体感できます。詳細・お申込みは杉戸宿案内人の会事務局まで。
問い合わせ先:杉戸町観光協会
杉戸町観光協会(杉戸宿案内人の会事務局)
住所: 杉戸町杉戸1-10-21
電話: (32) 3719(9 時~ 17 時)土・日・祝日を除く)
https://www.kankou-sugito.jp/